コンサルティングという業務の本質。コンサルタントの料金がとんでもなく高いのはこういう理由からだ。高いと思うならコンサルなんか雇う必要はない。

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「トンビって猛禽類やんな?」

鷹や鷲などの猛禽類は一部の男にとても人気がある。強そうやから、カッコいいからというところが理由であろうが、友達の中には、鷹を見るためだけに、思い撮影機材をかついで山に登る人もいる。それほど人気があるのだ。

だから不思議だった。だから聞いた。たしか、トンビも猛禽類だったはずなのにと思ったからだ。案の定そうだった、だから私は続けて聞いた。

「それやったら、トンビは、なんで鷹とか鷲みたいに人気ないの?同じ猛禽類やのに」

と。すると、あっちゃんはポツリとひとこと、あまりにも淡々と答えた。

「トンビは狩りせえへんからなあ」

なるほど。長年の疑問が一瞬で解決された。トンビは山ほど街にもいるのに、しかも猛禽類なのに、全然人気がない。電柱に止まっている姿はそんなにかっこ悪いものでもないのになんでかなと思っていた。なるほど、狩りをしないからか、一部のおとこたちが鷹や鷲が好きな理由のひとつに、狩りをするというのがあったのだ。うぉー、となった。
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私は生粋のアナリストなので、こういう疑問が解決された瞬間ほど嬉しいことはないのだ。おお、なるほどと何度も何度もつぶやいた。瞬間的に最適解をだしたあっちゃんは、はしゃいでいる私を見ることもなく、淡々とナイフで何かを削る作業をつづけている。

そういうことなのだ。

コンサルタントの仕事の原点はこれだ。まあ、あっちゃんは、猛禽類の悩み解決コンサルタントではないので、このアドバイスに対して、一銭も、俺に請求することはないが、もし私がクライアントで、あっちゃんがコンサルだったら、俺はこのアドバイスにいくらのお金を払うのだろうか。

コンサルタントってのはそういうことだ。

もちろん、こんなに一瞬で解決する必要はない。時間をかけて、クライアントの悩みを解決していけばいい。データーを集めて、資料を読み込んで、最適な回答を提供すればいい。もちろん早いに越したことはないが、時間をかけたとしても解決できれば、それは相当いい仕事をしたということになる。

で、もし、今回のように、それが一瞬なら。そして、そのアドバイスによって、あなたの事業が一気に好転加速し、5億の売上が10億になったとしたら、その「トンビは狩りせえへんからなあ」というひとことに1億円のコンサル料を払っても、まったく、損どころか、充分安すぎる値段ということになる。

コンサル料金を単純に労働時間や労働量で測れないというのはこういうところにある。あっちゃんは、言葉を発するのにおそらく5秒もかけていない。それに対する報酬が1億円ってぼりすぎやろって、判断軸を違うところに置くとそうなる。

「後ろ足の太ももの内転料を増やし、太ももと腹直筋の内角を5度以下におさえてください」

と私が、サーファーに教えたとする。そのひとことが、そのサーファーに見事にはまり、長年受からなかった1級に受かり、プロアマ混合の試合で上位に食い込みプロになったとしたら、彼は私にいったいいくら払うのだろうか。このアドバイスも2秒とかかっていない。

USJの入場者数は年々落ち、年間パスポートの料金がとんでもない安値になっていたところへ、どっかの敏腕のマーケターが入って改革したことにより、売上も来場者数もV字回復し、とんでもないことになっている。彼がいなかったら、間違いなく今はない。USJはいったい彼にいくら払うのだろうか。

そういうことなのだ。

だからコンサルの料金って難しいのだ。海にいるサーファーを一瞬だけみて、悪いところがどこか判断し、どこをどうすればいいかをだし、それをわかりやすい言葉にして、そのサーファーの性格まで考慮してアドバイスをする能力というのは、実はこれすさまじい能力なのだ。

あっちゃんの、トンビのひとことも、圧倒的な経験と知識と判断力によって生まれてきた言葉で、それこそ値千金の価値がその一言にあるのだ。

USJのマーケターもいくら給料をもらっているか知らないが、もっとあげても全然いいと思う。

コンサルタント料金は、例えば1時間いくらみたいな設定がされているが、それは、クライアントにとっては、とんでもなく高いと思える額であることが多いが、コンサル側にしたら、これでも安くしてますよ、というケースが多い。

このあたりを、きっちり説明したりしないと、なかなか双方が満足する料金になることがすくなく、高い設定をしたコンサルは分厚い資料とデーターを面談現場に持ち込み、ね、これだけのデーターからとったんですよ、高くてもしかたないでしょと、やらざるを得なくなる。

それは本末転倒もいいところで、そんな資料をみたって、クライアントは動けない。シンプルな言葉で、次になにをすべきかをうながすわかりやすい言葉で提示しないと、クライアントは行動をとれない。

だが、そのようにシンプルにすると、え?たったのひとことに10万円も20万円も払うの?ってなるのだ。

これはコンサルのジレンマと言ってよいものだろう。まあそれでも我々コンサルはそこで、しっかりと説明していかないといけない。

ということで、河村総研は今後も、難しい理論を出来るだけシンプルにし、クライアントが行動をとりやすいように、わかりやすく簡単に伝えいていくこととする。

そして、それには、思っている以上の高い金額をつけるが、その価値は充分にあると思ってつけているので、それが妥当と判断していただければ、その金額を受けいれ、お申し込みいただければ幸いである。

「もうちょっとだけ、骨盤を立てて、ふところに脚をひきつけてみて」

このアドバイスで、オフザリップで背中側に転ばないようになるのなら、それが3万円であっても決して高くはないと思うのだが。

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