凄い人がいた

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凄い人がいました。

新幹線車内での出来事です。その日は混んでいました。私は3列シートの窓側を好んで利用します。よほどでないと3列シートの真ん中は埋まらないからです。横が空いていると楽です。ところがその日は混んでいて、真ん中にも人がいました。

私は品川で降りる予定でした。品川に着く手前で降りる準備をしはじめました。棚の上に荷物を置いていたのでそれをとろうと立ち上がった瞬間、その真ん中の席の人が立ちあがりました。その人も降りるのか席を立ったのです。

良かったと私は思いました。棚は当然窓際の席の上にあります。ですので、物をとろうとすると身体を反らせてエビぞりみたいに荷物をとらないといけません。真ん中の席に人がいれば、さらにとりづらくなるのは必至なんです。

ですので、その人が席を立ってくださったのはラッキーだったのです。私は身体を真ん中の席に移し余裕で荷物をとりました。

席を立った人は空いていた2列シートに座っておられました。荷物がとりづらいのを瞬間的に察知してはやめに席を空けてくださったんです。一連の行為でこちらをまったく見ていません。すべて背中の目で見て動いていました。

こちらに気を使わせないよう配慮したのでしょう。

しかも、なんとその人品川で降りなかったんです。私が降りて新幹線の横を歩いていると、窓から見えた車内にその人が座っていました。

驚きました。こんな人がいるんだと。たまたま早めに席を立ったのでは間違いなくありません。私のために真ん中の席を空けてくださったんです。私が品川で降りるという判断を下したのも早かったですし、それから席を空けるのもはやかった。

ホスピタリティー色満載のカフェを将来やるときに彼にはエリアマネージャーからやってもらいたいと思いました。

どうやって育ったらああいう感性を身につけられるのだろうかと思いました。凄い人がいるもんです。だから人間ウォッチングはやめられない。