ちょっと早かった謙遜

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ここまで言うとやらしいかも知れない。日々色々なモノゴトを見て分析しているが、ほぼ毎日落ち込んでいる。俺ってそうとう性格がゆがんでるよな。そんなに世の中を斜めから切って面白いの嫌な性格だねってのが脳の中で鳴り響いている。自問自答しているのだ。

今日のもそんなゆがみ、かたよりまくった人間にしか気づかないようなことである。しかしこれうっかりやってしまうので注意が必要。言ったほうも言われたほうも気づかず、なんかやな感じだなというのだけが残るケースもある。細心の注意を払っていただきたい。

「いえいえ」
と新任の課長は言った。クライアントの店長が課長を、たまたまきていた他店店長に紹介したときだった。紹介を試みた店長の目が一瞬点になった。いえいえと言った課長は気づいていなかった。私は気づいた。他店店長も気づいていなかった。

課長は新任。前の月10月に昇進されたところだった。待望のだったので課長は喜んでいた。回りの人が後輩が先輩が同期が口々に課長の昇進を喜んだ。なかの良い友達は自分のことのように紹介した。

「史上最年少での昇進なんですよ、すごいでしょ」
と部下は知り合いに言いまくった。
「いえいえ」
と課長は答えた。

この、いえいえは全然おかしくない。誉められたので謙遜している、極めて常識的な対応だ申し分ない。ところがそれがこの日でてしまった。すごいでしょと紹介してないにも関わらず課長は謙遜してしまったのだ。無理もない。さきほども書いたが課長の昇進は最近でしかもかなり優秀な感じだった。だから回りも誉めに誉めた。それが染み付いていたのだろう。

店長はこの人史上最年少で課長に昇進したんですよと紹介はしていない。店長は単純に○×物産の課長ですよという事実だけをのべた。そこになんの感情ものっていない。ところが課長は反応してしまった。

例えば独立した私を知り合いがだれかに紹介してくれたとする。脱サラしてコンサルタントをやっておられる河村さんです、といったのに私はいえいえと答える。これは極めて滑稽である。脱サラした勇気を称えられ独立したことに対して賞賛され、すごいんですよと紹介されてきたとする。元部下が知り合いに私を紹介する時に、この人ほんとすごいんです全てを投げ打って勝負にでたんです。しかもコンサルタントという困難な道を選んだんですと紹介されたとする。そのときの返事は
「いえいえ」
でいいのである。

散々そうやって紹介されきたからいえいえというのが癖になっている。そしてついでてしまう。

「この人昨年のテレビチャンピオンシリーズのクイズ王なんですよ」
「いえいえ」

いえいえということはクイズ王でないということになってしまう。クイズ王というのは事実だから謙遜する必要はないのである。たまに出くわす光景。この人なになに何ですよ、いえいえ。

注意したいものである。