拝啓小売店様3

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出入り業者さん、問屋の営業さん、メーカーのセールスいわゆるベンダーさんに、丁寧に接したほうが絶対いいと思います。

私は22年間小売店様を相手に営業職として関わってきました。1000店以上の小売店様色々な方がおられます。ほとんどの方が丁寧に接してくださいます。その中でやはり何じゃこの店はというのがあるんです。

<業者のくせに>というのが根本にあります。「業者ごときが、お前ごときが」と平気で口に出す強者もおられます。奴隷以下です。会社の上司が「土下座でも何でもして注文とってくるんだよ。」と部下に罵声を浴びせているシーンがドラマなどで、たまに見られます。ドラマなので演出もあるだろうと思っておられる方が多いと思いますが、実際に知り合いのメーカーが土下座しているのを見た事があります。

「すみませんでした。」とレジの前でスーツ姿の男が土下座しています。「まいどーハワイです」と入った瞬間にそのシーンを見ました。さすがに見てはいけないものを見たと、立ちすくんでいると、社長が「ハワイさん、ちょっと外でといてくれ」と言いました。

あわてて外にでてました。しばらくするとその彼が出てきました。知り合いのメーカーさんでした。おどろいてかけより「どうしたん」って聞くと、「いきなり怒って土下座せえって言われたから、した。そしたら許してくれた。なんで怒ってるかわからない。」と笑っていました。

私はさほど驚きませんでした。そういう店だからです。それより、土下座して笑ってる彼に驚愕しました。すばらしいハートの持ち主です。取引先なら悪魔にだって魂を売るんです。

こんな店がある一方、まったく逆の店もあります。こちらが恐縮するくらい丁寧でやさしいのです。いくといつも「ハワイさんが商品を供給してくれるから、うちらはやっていけるんや、ありがとうな」と言います。そんな事はないんです。代替え品はいくらでもあります。うちなんかなくてもやっていけるんです。

さらに、いくと必ずお店の商品をおごってくれます。「今日は暑いよなあ営業さんはたいへんや、ポカリでええかと」だしてくれます。冬は寒いやろと缶コーヒーをおごってくれます。

ひどい小売店さんは商品を買わせます。セールスが客に早変わりです。何か買って行きと催促します。しかたなく、夏はポカリ、冬はコーヒーを買います。

営業マンは会社から色々支給されます。販促物と言われるノベルティーや試供品です。それは潤沢にあるわけではありません。ものすごい経費がかかるからです。全店分どころかほんの少ししかありません。

さあ、もしあなたが営業マンなら、どの店にこれらの販促物を持っていきますか?いわずもがなですね。

後者のとても優しい社長さんのお店。倉庫には各メーカー問屋、ベンダーから集まった販促品が天井高くまで積まれています。これを使って顧客にサービスをするわけです。売上はあがり、さらに営業マンがやってきます。またまた販促品が増えます。

前者の社長、私はなかが良かったので色々きかせてもらいます。「この前土下座させたった」とか「1時間かかる店にしかうっていないケーキを買いにいかせたった」とか自慢げに言ってきます。屈服させてるのだというのが自慢なんでしょう。

どっちの小売店様が得しているでしょうか。営業マンは奴隷ではないのです。人間なんです。感情の塊でしかも強力なセンサーを持っています。

絶対に丁寧に接したほうが得です。私なら「ご苦労さん」と言われただけで、1年分くらいの試供品を持っていきます。^^人間なんてそんなものです。