エステティシャン

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「エステサロンを経営しています。でもね、最近全然お客さんがこないんです。だから、エステティシャンでも養成しようと思って」
「どういう事ですか?」
経営者の集まりで先ほど知り合った妙齢の女性の言葉に驚いたとおるは思わず口にした。
「うちはねちょっと場所が悪いんです。在来線の地方の駅で、普通しか停まらず、しかも駅から歩いて15分かかるんです。だからお客さんが少なくて。それだったらエステティシャンの養成コースか何かを作って、育てようと思って。それだったらある程度まとまったお金がはいるし」
「なるほど」
と言ったとおるは、そのままその話題からフェードアウトするように、乗り出した身を元にもどし、静かにハイボールを口にした。

それって、流行ってるからと雑貨屋を始めたけど全然売れないから、店舗販売のアドバイザーになって、店舗販売のアドバイザースクールを立ち上げて、店舗販売スペシャルアドバイザーでも養成しようと、するのとおんなじじゃねえかととおるは例えになってるかどうか解らない感がある、微妙な妄想を始めた。

この話はフィクションであり、とおるは存在しないが、こういう話がとても多いなと思って書いた。本来なら、自分が開発したエステや施術で店が繁盛する。このお店はすごいと人が集まってくる。どうにもこうにも、いかず、施術を受けたい人が増えて対応できない。

じゃあ、私の右腕を増やそう。そして、より多くの人にこの施術を受けてもらおう、エステティシャンを養成しようって感じでエステティシャンのスクールを始めるってのが本来の流れだ。実際こんな感じでやっている人はいるが、それはそれは商売がいい感じになっている。

その商売は誰が客なのか、何のために誰のために行われているのか。しっかり考えて行動を起こしたいなと思う。色々いらんお金を払ってきて、ますますそう思う