伸びていく神経

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車両感覚

レンタカーや友達の車、新車で家に届いた車を運転するときって車両感覚がすこしおちますよね、いつも乗っている車に比べて。縦列駐車の時や狭い道で対向車とすれちがうとき、とても緊張します。

新車にのって数ヶ月してくるとその車の大きさにもなれてきます。対向車がきても結構ギリギリまで車を壁に寄せることができるのですれ違いも当初ほど緊張しません。徐々に神経が車の幅いっぱいまで行き届いていく感覚です。壁と車の間隔がどれくらいあるのか何となくわかってきます。

日本でできた車をタンカーに乗せて輸出するときは出来るだけたくさん積載するために、車をギリギリに前後左右詰めるのですよね。それを行なっているプロの運転手の人がテレビに出てたのですが、すごいスピードで数センチの間隔で詰めていました。車両感覚が常人のそれを超えているんですね。

このプロドライバーがもつ車両感覚に似た感覚をもつ販売員さんや店員さんがいる店はやはり心地よいですね。彼らの神経は店の隅々にまで伸びています。その神経の数は数十本にもなりお客さんやスタッフ、厨房やレジ、入り口からトイレなどいたるところにはりめぐされています。

何か動きがあると、空気のながれが変わると、神経がそれを拾い脳に伝達されます。そして瞬時に判断し行動をおこします。猫背気味に椅子に腰掛け食事をしていた女性の背筋が一瞬伸びた。プロはそれを逃さない首を伸ばしてキョロキョロしている。追加の注文なのか、水が欲しいのか、灰皿が必要なのか、近づきながら可能性のある項目を浮かべながら近づく。灰皿をエプロンのポケットに入れ、水のポットを持ち、伝票をズボンの後ろポケットにさして近づいていく。

背筋を伸ばして店員はどこかなと思った瞬間にその店員がこちらに向かっていることに対して客がおどろく。偶然なのか、はたまた気づいて動いてきたのか。客は意識すらしていないかも知れない。

しかしそのようなプロの振る舞いは確実にその空間の中に心地よさを提供する。積み重なれば、そして全員がそうなれば、その店はとんでもないものに成長していく。

いったいどうすればその感覚を養うことができるのか。もっか弊研究所で研究分析中である。できあがったら理論化して放つのでお楽しみに。