惜しいです。
せっかく「ありがとうございます」って言ってんのにおしいです。お客さんにありがとうございました、ってほとんどのお店はいいますよね。物やサービスを買ってもらった方にお礼です。お客さんにありがとうございますっていいましょう、というマニュアルもあるかどうか解らないほど、当たり前のことですよね、小売店様にとって。
ありがとうって皆が言ってるから、店長に言えって言われるから言ってるとかだと、あまり意味ないですよね。
カフェです。会計を済ませました。私におつりを手渡しながら、その店員さんは「ありがとうございました。」と言いました。そのままお店を出る私に対しては見事な対応です。私も気持ち良く帰れます。
ところがその日。私はいつものように鍵を店のテーブルに忘れてきました。(良くあります。わざとではないです。)一旦出て戻ってきた私を、前述の店員さんが不思議そうに見ました。私はテールを指さし、鍵をと、声にならない声で言いました。店員さんは軽くうなづきました。
店員さんはレジで伝票を整理しています。
鍵をとった私は、再びレジの前を通り店を出ました。店員さんは作業をしているので何も言わず前を通過しました。作業をしていて気づかなかったのか、何も声がかかりませんでした。
ありがとうございました。です。そこで、もう一発ありがとうございましたは入れないといけません。そうでないと、さっきレジの時に言った、ありがとうございましたがマニュアルになってしまいます。気づいてないのかも知れません。
でも、それでは駄目です。手を止めてでもありがとうございます。ベテラン小売店マン河村操なら間違いなく、鍵の元にダッシュします。
もったいないです。本当にお客様にありがとうって思ってたら、ダッシュとありがとうは出ます。身体が反応します。この店員さんが悪いわけではありません。別に誰も悪くありませんね。悪いとしたら大きなお世話の私ですね。
お客様がいるから。私がその飲んだコーヒーに払った380円があるからその店員さんは給料をもらえるんです。(私はお金を払ってる客だから偉いと言ってるのではないですよ。私は提供していただいたサービスに対して、お金しか払えないからお金を払っているんです。)
だれかがコーヒーを飲みに来ないとお金をもらえないんです。その企業の理念がそこにあり、しっかりそれが浸透していれば、ダッシュしありがとうございますも、もう一回出たはずです。
私の営業スタイルはお得意さんに徹底的に好かれることでした。商品を説明する能力や物を売りこむ能力がないと、早々に判断した中堅営業マン河村操は、相手に好かれることしか勝機を見いだせなかったんです。
相手のこころを読み顔色を伺い20年近く生きてきたのです。ですので、どうしても小売店様のそういう対応がひっかかります。もったいないです。
その店員さんがカギをとりにダッシュし、ありがとうございましたと、もう1回言ってくれたら、私はそのカフェの常連になっていたでしょう。私はそのカフェにはもう行きません。その店員さんは私が店に入って席を案内してくれるときからずっと、こころここにあらずでした。6時までのパートが終わるまであと1時間25分。はよ終われへんかなあという感じでした。
私に残された時間は残りわずかです。コーヒー1杯もどうせなら幸せに飲みたいのです。
ダッシュしてありがとうございますをもう一回言ってくれる店員さんがいたら、スカウトするかも知れません。「時給いくらもらってるんですか。それは、あなたに対する評価が低すぎます。うちの店にこられませんか。2000円お払いいたしますよ」って。
そんな店員さんだらけの店がもしあったら、コーヒー1杯800円でも商売になるやもしれません。