整理整頓

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これが本当に苦手だった。

車の中は滅茶苦茶、机の中も、カバンの中も。まったく出来ていなかった。ベテランになるちょっと手前からここがようやく出来るようになって来た。これは、出来ないより出来たほうが良い。

整理整頓が出来ている人にはそうでないひとより1.3倍くらい給料おおく渡したほうが良いのではと真剣に思う。私の同僚や先輩、後輩に整理整頓が得意な人が何人かいたが、その中でも3人の人が卓越していた。いづれの方も仕事がバリバリできた。

大学時代の後輩、社会人になってから知り合った塗装屋の社長。この2人が会社以外では優れた整理整頓に長けた方々だ。この2人も仕事ができる。

まず会社の中の1人の人。このかた、ものすごく動きが遅い。みていてイライラするほどだ。こちらがもの凄く慌てているのに、マイペースで動く。こっちが急いでんの見たらわかるやろ、もう少し早よ動けやといつも思っていた。

でもそれは、おかしい判断だという事に気づいた。ある日、その人に、「すみません、例のB社なんですけど、書類って残ってないですよね。」というと、「えー、ちょっと待ってや」とものすごく遅いペースで動き出した。

そこからがその方の神業だ。4ヶ月も前の資料である。ものがほとんどおかれていない3番目の引き出しをあける。おおきなファイルがきっちり5つおかれてある。その中の一番奥にあるファイルを取り出し、中を開いたと思ったらクリアファイルからその書類を抜き出し私にわたしたのだ。

指はひとつも迷う事なくその書類を選び出した。4ヶ月も前のである。私は呆然としてしばらくその場に立ち尽くした。「あ、ありがとうございます」

その時に思った。この人は動きはスローだが一切の無駄がない。もしこの資料でてこなければ私の膨大な汚いジャンクな書類の中から見つけ出すしかなかったのだが、どれだけかかったかわからない。

そうなのだ、動きは遅いけど結果的に一番効率よく仕事をしているはこの方なのだ。私は何もわかっていなかった。ばたばたとやっているだけで何もしていないのは、私のほうだったのだ。

それからその方に注目し徹底的に真似した。あとの2人からも色々教えを乞うた。

結局整理整頓している人は間違いなく仕事ができる。無駄な動きをしないのだ、時間の無駄遣いをしないのだ。そんな事をわかるのに随分な時間を費やした。