POSシステムの導入が小売業界に画期的な成果をもたらしたのは間違いない。不良在庫が減り回転数の把握も行えるので大幅な改善につながった。売れ筋の商品がわかる。どの世代に売れているかを入力している業種もある。売れない商品は排除すればいい。とても便利なシステムだ。
ところがPOSレジにはどうしても把握できないデーターがある。それは消費者が欲しくて仕方ないのにお店に置いていない商品。これに関してはデーターがとれない。そこがなんとかできたらなあという声は前からあった。「A社のBって商品ありますか」という問いに対してありませんと店員が答えて終わる。
社員の中にきの利いた人がいればそれをメモにとるなどして報告にあげる。ところが徹底されていないのでいかにも中途半端。ところがついに私はそれを徹底的にしている企業を発見した。インカムをつけた社員が客からの問い合わせの中で「これってありますか?」に対して全て対応していたのだ。例えば、
「このパンツのグリーンってありますか?」
という客に対して店員が、
「もうしわけございません。グリーンは作っておりません」
と答える。店員は答えたあとすぐにインカムを使って情報をあげる。
「すみません品番003ですが、グリーンがとても人気です。あさから4件の問い合わせです」
と本部に対して情報を送っている。
「すみません、33インチありますか」
という男性客に対して
「申し訳ありません、こちらの商品に関しては31インチまでのご用意です」
とことわったしゅんかん、インカムで。
「品番003です。こちらの商品ターゲットは細めの男性だったのですが、意外に大柄な男性から人気です」
みたいな情報をあげるのだ。
なるほどこれはすごいと思った。すみません、ありませんと返すだけではなく。今後の商品の開発や仕入れに大きく貢献している。もちろん全てに対応はできないが、需要がおおいものに対しては対策が打てる。今更とりたてて書くほどのことではない。昔は当たり前のようにやっていた。ところが、POSが導入されデーター管理がはじまると、データーが100%になってしまう。どんどん人間の感覚が排除される。
ビッグデーターの時代が到来し今後ますます注目され使用されると思われる。もちろん大幅によくなるのは間違いない。一方で人間の感覚の大切さもこころにとめておきたい