好きなことをして生きていこうを売るビジネス

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そこにマーケットがあるとわかると、商品やサービスを売りたい業者が殺到する。

夢を売る商売は昔から存在する。ゴールドラッシュもそうだろう。結果的には、金を掘るための道具を売った人が一番の大金を得た。リーバイスがそこから始まったというのは、あまりにも有名な話だ。

一攫千金を夢見ている彼らは金銭感覚が鈍る。この道具をお金を出して買ったとしても、金が見つかれば、あっという間に回収できるのだからと、惜しみなく投資する。

サーフィン上達法のセミナーは、上達したとしてもお金にならないので(プロになるなら別だが)あまりにも高額だと参加者はいなくなる。ところが、株の必勝法だと、少々高くても参加者はいる。前述の金採掘と同じで、2万円のセミナー代などすぐに回収できると思うからだ。

マーケットはシビアだ。そこにお金を払ってくれるであろうお客さんがいそうなら、その人達を狙って、どんどん魅力的な商品を送り込んでくる。

『好きなことをして生きていこうぜ』という商品を売るマーケットはどうなっているだろうか。実はこのマーケットは広大で、しかもお客さん候補の人達はお金を持っている。そう、その多くがサラリーマンだからだ。サラリーマンを社畜と表現するケースが最近多いが、そこから連想される像が、しいたげられて、楽しくもない仕事をさせられているイメージ

そういう人たちに向けて、こっちの水は甘いぞとやれば、それは心動かされる人もいる。しかも、サラリーという給料をしっかりもらっているから、ある程度高額でもお金を出せると売り手は踏んでいるのだ。

これだけ聞くと何だか、とてもひどい話のように聞こえるが、資本主義社会に生きている我々には避けられないことなのだ。

日常にもこういうマーケティングはゴロゴロしている。例えば、食器洗いなどの洗剤。昔はママレモンくらいしかなかったが、今はそれこそ、何十種類と洗剤が存在する。そうなってくると、ありていのCMでは商品が売れるはずもない。そこで、メーカーは除菌を全面に出してくる。

一昔前の食器洗いに菌などの言葉はなかった。ということは、昔は菌なんていなくて、最近増えたの。違う、昔も今も変わらず、そこに大量の菌は存在する。菌の存在など知らなかった我々は、ママレモンやチャーミーグリーンでキレイに洗っておけばよかった。

ところが、そんなのでは菌が死んでませんよと、まな板の上にイメージ映像で、黒い小さな点みたいなのをモゾモゾさせると、もういてもたってもいられなくなる。怖い、菌だらけだってなる。小さなお子様などいようものなら、それは見事にはまり、消費者は、そうして除菌の洗剤を手に入れることになる。

昔も今も、白いプラスチックでできた、包丁の切り傷が無数に入り、その傷が少し黒くなっているまな板の上で野菜や肉や魚をきり、使用後はチャーミーグリーンで洗っているだけだが、それでお腹を壊すことなんて皆無だ。

それでも、菌があると知ったら、チャーミーグリーンよりは除菌効果の高いジョイを買おうと思ってしまう。

だから、好きなことをして生きていこうを売るビジネスを極悪非道だとか卑劣だとか言うつもりはサラサラない。このブログタイトルは、もろそれであるしね。

メーカーは何かを売らないと生計を立てられない。もちろんフリーランスやサービス業も同じ、価値をお金に変換しないと、何も買えないし、給料を払えないし、仕入れもできない。生きていくためには絶対に必要なマーケティングなのだ。

高くつく買い物はしないでねという投げかけだ、今回の記事は。わたしも好きなことだけして生きていこうぜというセミナーも開催しているし、コンサルもしている。それを否定することは、自らの商売を否定することになる。好きなことをして生きていくのは楽しい。だから、こんな生き方したい人、もしよかったらセミナーあるよと、セミナーを売っているからね、全肯定で。

今も昔も、これからも変わらず、世の中には良い商品と、そこそこの商品と、悪い商品が存在する。高い安いって話ではない。値段と価値のバランスがとれているかどうかってことだ。

ちょっと、立ち止まって考えることで、だまされたってなる確率がさがると思う。マーケットは我々に等しく売買の機会を与えてくれている。裏を返せば、誰だって参入できる場所だということ、これを肝に銘じていると、生きるのがきっと、もっと楽しくなる。