それ言わなきゃいいのに

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知り合いにかなりたくさん本を売る人がいます。年間に累計20万部ぐらいだそうです。どうやったらそんなに売れるのって聞いたら俺は何もしてない、出版社の営業マンが凄いんだよっていいます。またまたご謙遜をと言っても、本当だよ、本当に俺は何もしてないんだって言います。

いやいやさすがに営業がどんなに凄くてもコンテンツが良くないと売れないでしょと言っても、本当だって、おんなじ事を何回も書いてるだけだよって言うんです。もちろんそんなことはありません。すばらしい内容の本なんです。でもね、それを一切口にしないんです。どんなに聞いたって営業がすごいしか言わないんです。

すごいですよね。格好良すぎます。あそこまで徹底している人ってそうお目にかかれるものではありません。営業が凄いだけでは絶対に20万部売れません。コンテンツがいいに決まってるんです。でもそれを絶対に出さない。微塵も出さないんです。

ほとんどの人が逆をしてしまうんです。普通の人は営業が凄いと言いながらも実は自分のも凄いと思っています。まあそれは思っていてもいいのですが、つい言っちゃうんです。自分で俺は何もしていないと言っておきながらそれを素直に受け取られると困るんです。例えば本が売れている話を素敵な女性から言われたとします。

同じように俺じゃないよ営業が凄いんですと言います。すると女性はそれをまともに受け取り、へー○○出版の営業って本当に凄いんですね。まじですか、普通はそんな絶対に売れません、凄いですね営業って言ったとします。

するとその人は何故か、まあ今回は文章を丁寧につむいだからねえって言ってしまうんです。ああ、いっちゃったかって感じです。この女の子は当然コンテンツが良くないと売れないなんてことは百も承知なんです。でも、素直に反応されたから、このこわかってるのかなあってなったんですね。だから言っちゃった。

いいんですよもちろん言っても。でもね言うのと言わないとのでは雲泥の差があります。言わないほうがクールです。口コミって起こすものより起きたもののほうが凄いんです。ああ、言わなきゃよかったのに