普通は立ち会えないような貴重な機会に立ち会わせてもらった。
プロの振付師が選手の演技の振り付けをつけるシーンだ。その選手が2016年のシーズンを戦うための演技を、振付師がていねいに振りをつけていく。
音楽を大音量で流し、その音やメロディーや歌詞にあった動きをドンドン作り出していく。ある程度の構成を決めたら、細部は音に合わせて作りこんでいくというやりかたをやるらしい。
ダンスはなにより音にのるというのが一番大切らしく、何度も音をとりながら動きを確認し、完成しては、それを選手に伝えていた。まあ、すごいものを見たなあという印象だ。
まあ、そこにいた4時間位、すべてが驚きの連続だったのだが、ある瞬間に、振付師が選手に言ったひとことが強烈に印象に残った。
聞いた瞬間これだって思った。そして、忘れないようにさっそく手帳にメモをとった。
振り付け師が、その振りを手本としてやった。それを真剣に見ていた選手が、やってみろと言われてやった。振りのほとんどを再現したのだが、一箇所だけ、選手がやりづらそうにしていた。何度かやっていたが、その部分だけ、どうも上手くできなかった。
それをみていた振付師は、さっそく何故出来ないかを見抜き、手をこういう感じで、これをイメージしてやってみとアドバイスを送った。
すると、なんということでしょう。何度やってもできなかった、その動きが、振付師の一言で、見事にできたのだ。選手は、なぜできたのかがわからず、鳩が豆鉄砲を食ったようにポカーンとしていたが、振付師は、そうやろできるやろという顔で選手を見て
「はい、500円」
と手のひらを上にして、催促するように言った。もちろん、それは冗談で、選手もそれとわかっていたので、つけといてみたいな回答をしていたが、それって、そうなのだ。
そう、そのひとことで、まったくできなかった選手が一瞬でできるようになったのだ。もし、そのアドバイスがなければ、選手は自力でその方法をみつけださないといけないのだ。もしかしたら、できるところまで行かないかもしれない。
そう考えると、わずか1文か2文のセンテンスで、それを治したということは、500円どころではすまないとんでもない価値があるということだ。
これだよみなさん、私達が売っているのはと、コンサル仲間や、カウンセリングをやっている友達に伝えたいと思った。それで、私はメモをとり記事にしたというわけだ。
そこが、この商売の難しいところでもあり面白いところでもあるんだよね。アドバイスはたった一言だったのだ。別に長いから高いってわけではないのだ。無駄に話を付け足して、10分で済む話を2時間くらい掛けてやる人も多いが、時間とか記事の量とかの問題ではないのだ。
たった一言で、その商品の問題が解決され、爆発的に売れ、何億の利益を産んだなんてことは、あるのだ「蓋を上からあけるのではなく横からあけるようにしようか」と例えば、アドバイスを受けたことにより、1000万円しか売れていなかった商品が5億円のヒット商品を産んだとしたら、あなたはそれにいくらはらいますか。
わずか30文字足らずだから、奮発して一文字100円にしよう。3000円くらいかなってなるのおかしいでしょ。でも実際、ここまで極端ではなくても、料金はそのアドバイスの量とか、時間に引っ張られるという傾向はあるといえる。
そうではないんですよというのをコンサルとかカウンセラーとかは伝えていかないといけないから、難しいのだ。
私は新人及び中堅のセールスマンに対して研修をおこなっている。
私はなにより基本がなっていないセールスをみると反吐が出るほどになってくる。色々なクライアントさんにインタビューするとセールスの態度が悪いのを許せない、それだけで、商品を買う気がうせるという人が多いので、そこはとても大切な部分なのだが、実際に研修をはじめて、あいさつと、約束を守ることとお礼をすることを徹底しましょうね、とやると、ふざけんなって顔が返ってくる。
実際に10名だったら10名の営業マンが、きっちりあいさつし、お礼を言えるようになっただけで、会社の売り上げは何倍にもなるのだが、
おいおい、幼稚園児にあいさつの方法教えるだけでひとりあたり5万円もとるのかボッタクリやなってなってしまうのだ。
実はそんなやりかたより、分厚いマニュアルを用意して、会議室に缶詰にして、横文字のマーケティング用語をならべて、難しい資料を配っている方が、お金をとれる。そうすれば5万円どころか10万円でも高くないと言う。
さて、それってどっちが役に立つ。そんなもの、受けた人に聞いたら答えなんか一目瞭然で、前者のほうが役にたつのだが、知らない人が話だけ聞いたら「なに^、あいさつをしましょうねって言うだけで5万円ももっていくのか、それっって詐欺だよ多分」と言われてしまうのだ。
コンサルってそういう意味ではとてもむずかしい。たった3語のキーワードで人生が一変したってなるのだが、3語で100万円は高いってなる。
振付師が言った「はい、500円」という言葉。ここに、コンサルやカウンセラーの商売の方法が集約されていると思う。
頭脳を売るのはとてもむずかしいが、それが役に立つと信じて、積極的に売っていこうではないか。