離れて暮らす弟に

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商品を売るために完璧な提案書を作り徹底的にロールプレーイングをした。何度も上司に怒られながら改善し今現在わたしが出来うる完璧な状態に持って行った。そしていよいよ決戦の日その月最大級の商談にのぞんだ。アポイントの10分前に到着し何度も資料を確認し待合室で呼ばれるのを待った。名前を呼ばれたわたしは立ち上がり襟を正して商談ルームに入った。

首尾うまく行きわたしはその商談を決めた。上司にも褒められた。部でもその商談について取り上げてもらった。半年ほどたってそのクライアントさんとランチをとった。そのときにその商談の話になった。社長先日はありがとうございました。あの商談について会社で褒められ部長にもとりあげもらいましたとお礼を言った。

するとその女社長は、
「あああれね、企画もたいしたことないし商談自体もひどかった。でもねあなたの一生懸命な姿にこころ打たれたのよ。わたしにはね、あなたと同じくらいの弟がいて東京で仕事がんがってるのよね。もう5年ほどあってなくて、あなたを見てたらそれを思い出しちゃってせつなくなって買ったのよ」
と言った。わたしはそうだったんですかありがとうございますと言った。その後の事は良く覚えていない。

商談自体は全然駄目だったと言うことだ。わたしはとてもショックを受けた。

どういう理由で向こうが購入したなんてわからないんですよね。今回はたまたま話したので判明しましたが、ほとんどのケースはわからない。イーモバイルの契約を解除しようといきこんで店に乗り込みましたが対応してくださったお嬢様があまりにもタイプだったので上のグレードの機種を契約してしまいましたからね。

ひとつ要因が違うだけで結果が違ってくる。しかもその要因は特定できない場合が多い。何かを参考にする時、踏まえないといけないことは多いように思います。