「別に飲んでもいいけど、慢性になって、糖尿になっても知らんよ」
七転八倒。これほどの痛みは他にない。死んでしまう〜というほどの激痛を味わい、救急車で病院に運ばれたにもかかわらず、俺は再び飲酒をし、これまた再び、あの痛みを味わって、病院に運ばれ、救急処理をほどこされたあとに、医者からもらった言葉だ。
急性アルコール性膵炎。酒飲みの病気である。何故か理由はわからないが、芸人がよくかかる病気で、チュートリアルの福田さん、中川家のお兄ちゃん、次長課長の河本さんが、同じ病気にかかっている。おお、俺も芸人みたいにおもろいから、かかったんかなあと言っている場合ではない。
ヘタしたら死んでしまう病気だ。重篤の急性アルコール性膵炎は、多臓器不全を誘発し死に至ることもあるのだ。そんな恐ろしい病気にもかかわらず、人生をなめていた俺は、一度ならず二度までもかかってしまったのだ。全て酒が原因である。アルコール性膵炎は、酒だけが原因なのだ。
ちなみに一般的に、痛みの三大やまいと言われているものがあって、その中に膵炎も入っている。残りふたつは尿管結石と痛風だ。痛風の痛さは有名だ。風が吹いただだけでも痛いってのだから、その強烈さは相当なものである。その痛みに並ぶのが膵炎と尿管結石、それほどの痛みを伴うやまいなのだ。
それを2回もやっている。バカにつける薬はない。それほど、酒飲みは馬鹿なのだ。あの痛みにうちかつ酒への欲望を持っているのだから。
酒はもっぱらビール党。ウイスキーも日本酒もワインもいけるが、好んで飲むのはビール。量はたいしたことない。500mlのロング缶を1日に6本ほどだ。大丈夫、1日も休むことなく、それを17年ほど続けただけだ。大酒飲みというレベルではないだろう。
これが膵臓にきた。一説によると、食って飲むタイプの人は膵臓がやられるケースが多いようだ。俺はまちがいなくそのタイプ、食って食って飲みまくった。
慢性になり、糖尿になるのは、避けたく、医者に見放されそうになったので、そこで断酒をちかった。それ以降は一滴も飲まず、そろそろ10年を過ぎようとしている。
夏本番となりビールがうまい季節。この話をすると飲みたくないですかと言われるが、もう大丈夫。ほしいとは思わなくなった。辞めてから2〜3年は、夏が本当に辛かった。あと、よっぱらいのくだらない話も辛かったが、ようやく、それをなんとも思わなくなってきた。
コーラと烏龍茶で一番酔っ払ってるみたいになっているから、不思議なものだ。雰囲気で酒を飲むとはよく言ったものだ。そういえば、アルコールがなくても酔っ払うよというような実験をテレビでやってたが、その話もおもしろかったので、また書くことにする。
ちなみに私の膵臓は8分の1ほど溶けて、石灰化して機能していない。残り8分の7。これ以上溶かすわけにはいかないのである。