老老事故について真剣に考える時期がきている

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6キロを過ぎたあたりで横断歩道がついていて、信号がない交差点を通過する。

週に2〜3回走っているお気に入りのジョギングコースは滋賀の田舎街というのもあって、車によってジョグを妨げられる箇所がほとんどない安全なコースだ。

10キロのコースのほとんどが自転車歩行者専用道路を通る、安心して走ることができるのが魅力なのだが、3箇所だけ車に注意しなければならない箇所がある。そのうちの2箇所は信号が設置されている。車の量は多いが、信号を守りさえすればまあ大丈夫である。残りの1箇所が、最大限注意を払わなければいけない。

それが前述の交差点。ここは信号がない交差点で横断歩道だけがある。東西に走る幹線道路。私は西から東に向かって走る。北側にある歩道を2キロほど走る。自転車歩行者専用道路をでて、この幹線道路にはいるのだが、はいって1キロを過ぎたあたりに交差点がでてくる。幹線道路に沿って併設されてる歩道が、南北に伸びる道路によって切断される。その箇所だけ、私は道路を横切らないといけない。
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東西の幹線道路はそんなに交通量が多くないが、車はまあまあ走っている。わたしはこの日も、この交差点にさしかかる50メートルほど前から、細心の注意を払った。前から車がきているかどうかを確認する。走ってきていた。

東西の幹線道路を私は西から東に向かって走っている。軽自動車が東からきている。交差点手前で減速をした。右折するため右側に指示器をだしている。なるほど、やつは、この交差点を右折するのだなあと私は心得た。

このまま行くと、ちょうどいいタイミングで、車と遭遇する。わたしがその交差点を通過するタイミングで、軽自動車は右折してくる。どうやってタイミングをずらそうかと、今一度軽自動車に目線を配った時に、あるサインに気がついた。

シルバーマークだ。ボンネットの右隅にこのシールがはってある。四つ葉のクローバーをかたどったこのシールは、運転者が高齢ですよと示している。自動車を運転している人は、このマークをつけている車を発見したら、無理な追い越しや、あおったりやをしてはいけないとなっている。そのシールを発見した私は、身を引き締めた。

高齢者だからどうだということはないのだが、残念ながら、加齢による衰えにより反応が落ちるのはさけられない。そのためにシールをつけているといえるだろう。基本的に、歩行者優先である。横断歩道を渡ろうと思っている歩行者がいたら、自動車は減速したり一旦停止をしたりして、歩行者をさきにわたらせる必要があるのだ。

もしこの運転者が高齢でなかったら、わたしは右手をあげて車に注意を促し、減速もしくは止まってもらってジョギングのペースを変えることなく、通過しただろう。だけれども、万が一ということがあるので、今回は、私は減速し、先に車を右折してもらうことにした。20メートルほど手前から減速し、車を先にいかせようとした。

残り10メートルになったところで、私は運転席のおばあさんと目があった。先に行かせようとしていたのだが、彼女は私に気づいて減速してくれた。そして、彼女は私に頭を下げて会釈をした。すると助手席に座っているもうひとりのおばあさんも、俺に会釈をした。そして、後ろの席に座っているおばあちゃんも、窓越しに私に会釈をした。

田舎の人っていい人がおおいなあ、運転する人が合図すればそれでいいのに、わたしなんかのために全員が会釈をした。そして、さらにスピードを落とした。

なるほど歩行者優先が徹底されているのだな、俺がいくら先に曲がれと言っても、彼女には歩行者を優先させようという強い意志があるのだな。それなら、俺もルールを曲げる必要がない。3人の行為を親切を無視するわけにいかない。わかったよ、それなら先にわたらせてもらうねと、右手をあげて、彼女たちに合図をしながら、横断歩道に1歩足を踏み入れた瞬間、

彼女の運転する軽自動車は、わたしの鼻先をかすめるように、加速しながら右折していった。

おっと

曲がるんかい、とつっこみながら、もう一歩右足をだしたところでわたしは止まった。彼女たちはもういちど私に頭を3人同時に下げて、ビューンと私の前を走り抜けていった。

お先にの、会釈だったのだね。

もしかしたら、くるかもしれない。という思いがあったから、なんとか踏みとどまり、はねられることはなかった。でももし、こちらが、歩行者優先はあたりまえだよと、普通に走り抜けていたらどうなっていたのだろうかと思う。

老老事故というのが増えているらしい。国も対策に講じているが、これって今後ますます増えてくる予感がする。もし歩いている私も老人になっていて、急激に止まったりできていなかったらどうなっただろうか。

逆のケースもよくある。

先日は私が車を運転していたら、コンビニの前で乳母車型の歩行器を押しているおばあちゃんがスタンバイしていた。信号も横断歩道もないその場所を渡ろうとしていた。危ないよおばあちゃん、そこはわたってはだめだよとおもいつつも、横断歩道のある信号まで距離があるので、まあ気持ちがわからないでもないなあと減速しながら様子をみていた。

するとおばあちゃんは、右を見て左を見てもう一度右をみた。わたしは右からきていた。彼女はいちおう道の車を確認してから渡ろうとしているのだなという意思を感じたわたしは、右を2回もみているから、私の車を現認しているだろう、俺が通過してから渡るだろうと思い、おばあちゃん気をつけてねと思った瞬間、ブレーキを踏むことになった。

彼女は、2回もこちらをみているにも関わらず道を渡り始めたのだ。おっとととブレーキを踏んだ。くるかも運転がみについている私は余裕をもって車を停めることができたが、もしこちらが、前述のおばあちゃんだったら、私の鼻先をかすめて頭を下げながら加速しながら通過していったおばあちゃんだったら、はたして止まることができたのだろうか。

営業マン時代に車を運転していてこういうことがあった。

見通しのいい信号のある交差点。前方が青だった私は、交差点を通過しようとした。そのときに右側から軽自動車が走っていた。こちらが青なので、あちらは赤。なのに、減速しなきゃいけないタイミングなのに、その軽自動車はいきおいそのままで交差点に近づいてくる。なんかおかしいと感じたわたしは、ブレーキを踏んだ。

するとその軽自動車は、こちらをいっさいふりかえることなく、前方を直視したまま、赤信号を突っ切って行った。おいおい、おじいちゃん、あかんて。

もしわたしが異変に気づかず、まっすぐ走っていたら、まちがいなく交差点でぶつかっていた。くるかも運転をしていたから避けられたのだが、もしこちらも高齢者だったら、どうなっていただろうか。

加齢とともに判断力や反応のスピードが落ちるのは避けられない。自分がもうだめだと思ったら車の免許を返還する制度もあり、返す人も増えてきたが、どうしても車がないと生活できないという人もいるから、問題は簡単ではない。

加害者と被害者が両方共老老なら事故の確率は格段にあがると思われる。今以上の対策を早急にうたなければ、将来大きな問題となってくるだろう。高齢化社会は確実に交通社会にも浸透している。考える時期にあると思う。