ベテラン刑事のかん、女のかん、パットの距離感、営業マンのかん、英語を話すということなどは共通した能力であると常々、ことあることに私は言ってきた。ここに出てくるかんは確実に磨くことができる。そしてそれを使用し事を得た本人は、なんとなくと答える。意識してなかったと。
それを裏付けるような、後押しするようなテレビ番組が昨日おこなわれていた。開幕を明日に控えた2014FIFA ワールドカップブラジル大会に出場するスペインの特集。彼らは何故そんなに強いのって番組。その中の最重要人物であるシャビとイニエスタについて、彼らが何故凄いのかってのを徹底分析する番組だ。
まあ色々すごかったのだが、その中で印象に残ったのが、このカンにつながるはなし。シャビは1発のパスで切り拓き状況を一変させる能力をもつ。スペインのパスの3本に1本は彼を経由している。その彼のパスは本当にすごい。その瞬間に最適なパスはどこなのかを判断し的確にパスを出す。そしてなんと実はそのパスを出す瞬間はほとんど無意識らしいのだ。
これは圧倒的な経験がそうさせているのだという。将棋の棋譜のパターンをプロの棋士が全て覚えているように過去のパスのパターンをたくさん脳が覚えていて、瞬時に意識を介さず的確にパスを出すのだと。にわかには信じ難いがそうらしい。
これは前述の刑事のかんとか女のかんパットの距離感とかと同じだ。圧倒的な経験が脳に蓄積され意識に上る前に脳が的確なものを出してくる。ん?何かあいつ怪しい、この人浮気してるとか、これくらい打てば寄るというのは全部これと同じなのだ。
イニエスタもわずか3パターンのフェイントで相手を抜きさるが、頭でなんて考えている暇はないと言っている。頭で考えているようではとても間に合わないのだと。実はプレゼンもまったく同じなのだ。直前までは超がつくほど徹底的に何度も繰り返す。書いた脚本を脳でなぞるようにやる。構成も何度も頭のなかでシュミレーションする。だが、実際に壇上にたつ直前、それを一切忘れる。無の状態でステージにたつのだ。あとは野となれ山となれだ。
圧倒的な経験と訓練があれば、何も考えずに挑むのが最高の結果をあたえる。でも、これは相当怖い。本当に何もでてこなければという不安がいつも頭をよぎる。それには、経験とものすごい数の訓練が必要になってくるが、それをしたなら後はやるだけだ。
ものすごい強い選手やすごい人達が、俺は何も考えていない、考えるな感じろと言う。でもこれにはこういう裏付けがあったのだ、膨大な量をこなしているから本番では感じろということになるのだ。
練習も経験もほとんどないのに、よし、考えるな感じるんだって言ったて、それはむりなのである。