ビジネスは3Sだ。整理整頓清潔を極限まで高めていけば、あなたは成功する。

シェアする

情熱系のラーメン屋に入った

「いらっしゃいませ」

と最高の笑顔とともに発せられた歓迎の挨拶。しかもかけよってきてドアまであけてくれる。

「お客様ご来店です」

と大きな声で叫んでくれる。それを聞いたスタッフが同じように大きな声で全員がいらっしゃいませと言ってくれる。席に着く。テーブルとか厨房は整理整頓されている清潔感もまあまあある。壁には理念とか志とか、社会貢献するとかの思いが書いてある。5ヶ条とかも書いてある。

接客も絵に描いた餅のようでなはく、愛情込めて真心込めてやってくれる。ただ、しいていうなら、床とか壁があまりきれいではない。築年数も立っていて油をあつかう業種なので汚れていたりやや劣化してたりするのは全然いい。そんなのはまったくいいのだが、拭いていない感じがあるのだ。

惜しいなあ、と思った。私は自分が汚らしい感じがあるせいか、心が汚れているからか、きれいな店が大好きなのだ。店がきれいだと、安心できる。これだけキレイにしているのだからきっと料理も丁寧につくっているに違いないと判断するのだ。実際にそうかどうかはわからないが、そういう仮説を立てて、判断の基準にしている。おおむね外すことはない。

机の上とか、調味料が置いてある場所とかがきれいなので、もったいないなあと思いながらトイレに行った。

なるほどと思った。残念と思った。トイレが超汚かった。書いていて思い出したが、京都のカフェにトイレが超汚いカフェがあった。そこは店内も汚かったので推して知るべしだったのでまあいいのだが、この店は店内がまあまあきれいなので残念だった。

目をつぶりながら用を足し、がっかりしながら店内に戻ったのだが、そうなってくると、壁に書いた5ヶ条も、元気な挨拶も本当なのかなと思ってしまっていた。

マニュアルの弊害

きっとものすごいマニュアルが有るのだと思う。スタッフ教育も相当やっている。全員が声出ているし笑顔も万全だ。机もキレイし気遣いもできる。朝礼とか研修とかしっかりやっている。

でもなぜか、この店舗、トイレは汚い。きっとトイレを思い切りキレイにするというマニュアルがないのだと思う。トイレをきれいにしようとは書いていても、そこが汚かったら元もこもないぞ、見えていない部分もキレイにしようぜとか書いてないのだと思う。だから、そんなに書かれていないから、そこまでやらない。元気な挨拶、客の出迎えと見送りの徹底度合いがすごいのはそこに注力しているから。

これがマニュアルの弊害。

本当に気持ちよく迎えよう。整理整頓清潔を徹底しようって指示なら、誰かが「店長トイレきたないすよ」となったのだろうが、そんな抽象的な指示だと、誰も何もやらないのでマニュアルを作る。具体的に指示しないとやらないからだ。

ところが一旦、あまりにも具体的なものができてしまうと、それ以外はやらなくなる。かといって、整理整頓清潔をねという抽象的な指示では壊滅的に何もしなくなる。それを本部は知っているのだ。さあ、あなたはどうする。

3sの凄み

マニュアルで行くか本質的な指示で行くかはあなたに委ねるとして、3sの凄さは半端ない。整理整頓ができていて加えて清潔なオフィスに入ったとする。そんなオフィスの空間を作っている社長が仕事ができないわけがない。いらっしゃいませと迎えるその人は見事に清潔でピシッとスーツを着こなしている。机の上には必要最小限のものしかおいていないし、A4の書類は机の右上のトレイに数枚きれいにおかれている。

応接テーブルはピカピカで、長辺が壁に対して垂直におかれている。彼からの道案内は的確で無駄がなく、順番通りにくれば確実にたどりつける。所要時間まで書いてあるがほぼ時間通りにこれた。

もうやられている。きっと、どんな条件の悪い契約にも判子を押してしまうだろう。もちろん、そんなことはしないとわかっているからだ。人は見た目が9割という本が売れたが、そういうことだと思う。

前職についているときに出会った2人の3sを徹底的にやっている社員から強烈なインパクトを受けて、3Sを心がけているが全然だめ。まあちょっとはマシになってきたので引き続きやることにする

住所を決める

ものの置き場所を決めるということ。

例えばカバンの中。携帯はここ書類はこうしてここ、水筒はあそこ名刺入れはどこ、ノートはという風に場所を決める。使いやすいようにKAIZENしながら、徹底的に繰り返す。無意識に、習慣になるまで。カバンを見ずとも手を入れたら一発でものがでるようにするのだ。まずはそこからはじめろと前述のひとりの社員から言われた

「みさおさんまずはカバンの中からやりましょう。場所を決めてください。そして導線と効率をあげるように徹底的にやりつづけてください。机の中とか部屋とかはやったらだめですよ。どうせ無理やから、カバンから始めてね」

と言われた。それからカバンの中を整理し整頓し、場所を決めた。例えば今のカバン↓

しばらく縦型のトートを使ってたのだが、ひさしぶりに横型のこの形に戻して入れる場所を再確認。書類がはいっているA4の2つ穴ファイルを大きい方のスペースに右端に水筒。前のスペースの一番右に財布を立てて入れる。ファスナーが右からあげるので財布はとりだしやすくしている(スリや盗難を警戒する人は左側に)ファスナーの引き手は右側にして開けてすぐに取り出せるように

携帯はその前のスペースのこれも右側。パソコンは真ん中のパソコン入れの場所に。余裕があるのでその前にB5のノートと場所を決めて入れている。ここでもない、そこでもないと言いながらようやく今の定位置に収まった。焦っているときでも適当にいれず、しっかり住所にあわせていれておけば、必ず何かの時に助けてくれる。急いでいる時に、あるべき場所にあるものがあるというのは至福の喜びであるし、作業効率や仕事の段取りがものすごくはかどる。

ここにくるまで相当時間がかかった。どちらかというといい加減で、汚くて整理整頓できないタイプだったので、いつも車の鍵を探していたし、財布がないと大騒ぎしていたし、1日に10分以上ものを探していた。もちろん、今も、本質的な部分では変わっていないから、よほど意識して無意識化するまでトレーニングしている。

最初に車の鍵の入れ物を玄関の下駄箱の上に作った。そこら中に置きまくっていた鍵を、まずは鍵だけをその入れ物にいれるようにトレーニングした。3ヶ月以上かかったと思う。おかげさまで、今はすっかり習慣になり、この2年位は、鍵を一度も探すことなく生きている。

もはやそこに鍵を入れるという感覚すらない。記憶ないなあと思っていても、必ずそこにはいっているのだ。この行動を、日々の仕事の中で習慣的に繰り返さないと行けない仕事をこのレベルまで持ってくればすごいことになる。カバンの中の整理整頓もそう。すぐにでてくることになるのだ。

神は細部に宿る

この習慣を繰り返していると、書類の作り方が洗練されてくる。パターン化する、整理するというのが、仕事の効率を上げスキルをあげるというのがわかってくるからだ。ようやくここにきて、書類を、文章をクソ丁寧に、これでもかというほど徹底的に洗練させることの意味がわかってきた。すばらしい資料にはすばらしい仕事が含まれている。

相手にわかりやすく、丁寧に作られた書類には愛情がある。そんな資料を提供されて、嫌と思う人はいない。

結局、相手のためなのである。3Sはもちろん自分のためではあるが、同時に相手のためにあるのだ。できるだけ相手に負担をかけないようにする。トイレがキレイだったら、それだけで心地よい。

書いているだけで自分に自虐的に書いている。まだまだどころか、全然できていないよ俺は3sを。それでも、それができていなくても、それができていて素晴らしい人をいっぱい知っているので、それがすばらしいものであることはわかる。

若者よ。

いい仕事をしたいなら、すごいビジネスマンになりたいと思うなら3Sから始めよう。まずは鞄の中を整理せよ。そして、それを洗練させよ。その繰り返しがその先に続くのだ。

青年よ、カバンを整理せよ。