ベテラン営業マン河村操VS左サイドバックの常務

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毎週火曜日に無料で配信しているメールマガジンは、今号で152をむかえる。1年を52週とすると、まもなく3年になる。

元営業マンの河村操が、新人からベテランと成長していく中で、どのようにコミュニケーション能力をあげていくのかを見てとれる、とても面白いメルマガだ。日々立ち寄るお店で、素晴らしい接客やおもしろい接客に出会った時のエピソードも書かれていたりする。

3年をむかえる記念に、今日配信したメルマガをここに引用してみた。興味がある人は是非お読みいただきたい。そして、毎週こんな話が読めるなら、登録してあげてもいいなと思われる方には、是非、
『営業マン河村操はコミュニケーションする』というたいして面白くないタイトルのメルマガに登録していただければ嬉しい。登録料は無料なので是非に。

では、早速、さきほど配信したメルマガをお読みください。完璧なタイミングでシュートを打った河村操は、強烈なデイフェンスにタックルを受ける。果たしてシュートは決まったのか。続きは以下でどうぞ。

〜以下引用〜

<営業マン河村操コミュニケーションする>
2015年2月17日
第152号 クロージング

■クロージング

近代野球。

ピッチャーは分業制。
先発がいて、中継ぎがいて、抑えがいる。
おさえは試合を締める意味でとても重要で
クローザーとよばれる。

商談においてクロージングという言葉がある。
文字通り、商談の最後を閉じる技術、
で、社長、これでよろしいですか?
という風に契約完了に導くスキルだ。

プロ野球のクローザーと同じく、
このクロージングとても重要で、ここが
だめなら商談が台無しになる。

このスキルほど営業マンや販売員の実力が
求められる部分はない。

全神経を研ぎ澄まし、タイミングをみて入らないと
いけない。

こういうクライアントさんがあった。

商談は社長とする。社長がバイヤーも兼ねているからだ。
ベテラン営業マン河村操はいつものように商談をしていた。

「いやあ社長。いつみても売り場の演出がすごいですよね」
と、とってつけたようなお世辞からはいる。それを、お世辞と
とらない社長が言う
「ほー、河村君。どこがどういい?」
「そりゃ、もちろんレジ横のエンドですよ。今業界で
話題騒然の商品を大量に陳列されておられる。お客様を
絶対に逃さないですよね、あれだと」
「おお、あそこな。そうや、ちょっと前にメーカーに連絡して
あるだけ持ってこいってゆーたところや」
「さすがです社長。他の店は商品ないって泣いてましたよ」
このクライアントは小売店。消費者に対して商品を売っている。
河村操はメーカーの営業マンだ。

という導入から、で、なんですが社長と
自社の商品の商談にはいる。全部書いていると
とんでもない文量になるので、割愛するが、
その後もしっかり気分をよくさせるトークを展開して
商品説明にはいる。

そして見事な流れで、いよいよクロージング。
社長は商品が気に入ってるようすだ。ここは
一気にたたみかけないといけない。息継ぎをさせては
だめな場面だ。

ベテラン営業マンはもちろん、そのタイミングを逃さない。
さあ、今だと、クロージングに入ろうとしたその瞬間。
見逃してないのはわたしだけではなかった。

「あんた、銀行いかんと間に合わへんで」
と左斜め後方から強烈な、長友バリのタックルがはいる。
「あーん?」
と怪訝そうな表情をみせながら社長が言う
「わかってる」
と乗り出していた身を起こし、背もたれに背をつけた。

終わったとベテラン営業マン河村操は思った。
社長は充分な息を吸い込んで、溜息として出した。

「河村くん、わかった。考えとく」
「いや、今日決めてもらうほうが、条件的にも」
「ええわ、銀行いかなあかんから」

長友は自分の視界にはいらないが、こっちを見て
笑っているように思えた。長友とは、さきほど
強烈なタックルをかけてきた、影の権力者である、
社長のおくさんである常務だ。

バイヤーは社長だが、お金を管理しているのは常務。
社長はねっからの商人なので、ものを買いたがる。
それを知っていて、メーカーが次から次へと、
売り込みにくるので常務はストップをかけるために
存在するのだ。

くそ、あと一歩なのにという思いを悟られないように
みけんによったシワを元にもどしてから、ベテラン
営業マン河村操は振り返った
「あ、常務いらしてたんですか」
「いらしてたんですかちゃうで、あんた、わたしが
おらんときばっかり商談きてるやろ」
とものすごく不敵な笑みを浮かべた
「いやいや、そんなことありません。
なんか、なかなかタイミングあいませんね。
常務が出張いっておられるときばかりきてるん
ですかね、たまたま」
「あほか、あんたんの魂胆はわかってる。
まあ、ええわ。また出直してき、社長は5時までもどらんで」
くそ、完全に負けたと河村操は、握りこぶしを
強く握るのをみつからないように
「ですよね、また出直してきます。では常務
失礼します」
「もうこんでええで」
と見送ってくれた常務に深々と頭を下げ
ベテランは寂しく店をあとにした。

そう、この常務もベテラン営業マン河村操も
クロージングの大切さを充分知っている。
だから、あのタイミングで声をかけたのだ、
さきにスライディングタックルしたら、
交わされるを知っている常務は、
シュートを打つ瞬間のクロージングを狙って
飛び込んできたのだ。完全に
河村操の負けだ。

それほどこの瞬間が大切なのだ。
なのでこのクロージングを苦手とする人は多い。
断られるのが怖くてクロージングをしないまま
終わる営業マンも意外に多い。

ではどうやって
その難しいクロージングを行なえばいいかは
また別の機会に書くとして
このクロージングがとても大切であるというのを
また、それなのに、あいまいにやっている人が多い
というのを知っていただきたい。

クロージングをスムースに
的確なタイミングでやるにはどうすればいいかを
考え、導入からメインの話に入っていただきたい。

優秀なクローザーになって
次々打者を打ち取っていただきたい。

河村総合研究所
主任アナリスト
河村 操

■ 発行者情報

メルマガ名:営業マン河村操コミュニケーションする
サイト:www.kawamuramisao.com
発行責任者:技術理論研究所 河村 操
住所:〒525-0027 滋賀県草津市野村5丁目9-34
連絡先:kawamuramisao@gmail.com

〜引用終了〜

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