答えてしまう

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答えてしまう。

人は何か聞かれたら答えてしまう。

「社長、いよいよ県内に20店舗目ですが、ここまで規模が大きくなると思っておられましたか。」「いや〜思ってなかったよ」と答えてしまう。

「社長、いよいよ県内に20店舗ですが、ある程度予測されていたとは思うんですが、今どんなお気持ちですか。」「目標がなければここまで来れなかったとは思ってたが、正直もうちょっとかかると思っていたね。」と答えてしまう。

これは極端な例で、20店舗もの店舗を出店する社長がインタビュアーの誘導尋問のような質問に対して自分の考えにない答えをするとは考えにくいが、期待通りの答えをしようとしてしまわないだろうか。

晩年のベテラン営業マン河村操はこれオンリーだった。お得意様やクライアントさんの質問。この人が期待している答えはなんなのか。それを瞬時に判断し、まずは答える。そして、自分が話したい方向に持って行くという事をほとんど無意識に行っていた。

最後のほうはそんな自分がいやになっていたようだ河村操は。自分がないかのように思われ、お調子者、うそつき、偽善者という言葉が頭を駆け巡る。その、反動からか、社内に対する発言はまったく歯に衣をきせぬものだった。その態度でお得意様にも接していると思っいる上司は驚く。お得意様の河村操に対する評価はすこぶる良い。不思議なようだ。

なぜ社内でもそうしなかったのか。疲れているからである。疲れるからである。相手の言葉を言葉以上のものを感じながら最大限注力して話を聞く。相当疲れるのである。売り上げに直接影響しない社内営業なんてしている時間も力もないのだ。ついつい、横柄になる。

人は答えてしまうのである。

聞く人の期待に応えようと回答してしまう。自分に聞いてみる事にする。あなたは自分に都合のよい答えを引き出すために質問していないですか。