大阪はネタの宝庫。街を歩けばネタにぶつかる。半日歩けばふたつみっつは見つかる。今回はルクアイーレのエレベーター。わずか30秒の出来事。

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JR大阪駅直通の商業施設LUKUA 1100-ルクアイーレ。オープンして半年ほど経つがその人気は相変わらずだ。特に9階にある蔦谷書店が大盛況。オープン時には入場制限がでるほど。現在はそこまでではないが、それでも多くの人で賑わっている。

昨日はグランフロントにある共同事務所(といってもコワーキングスペースだが)で仕事を終え、そのルクアにある蔦谷書店に向かった。時間は22時を過ぎていた。

ルクアイーレの他の階は9時閉店。なので、エレベーターは蔦谷がある9階から駅直結の入り口がある3階まで直通となる。他の階には止まらない。

私は本を1冊買ってエレベーターに乗った。私の他に10名ほどのお客様が乗った。一番最初に乗りこんだ人が3階を押した。私は後のほうに乗ったので入り口付近に立っていたのだが、奥から30代半ばのOL風のかたがたの会話が聞こえてきた。

「ごめんちょっと5階押してみて」

とかたほうの女性が言った。いやいや開いてないってと、おそらく何人もの人が心の中で突っ込んだ。もちろん私も。すると直ちにもうひとりの女性が

「開いてへんやろ」

と言った。うんうん、あんたが正解。これも何人かの人が心の中で思った。私は思った。

「そうかなあ」

とボタンを押してと頼んだ女性のほうは納得いかなかったのか横についているボタンを押した。このエレベーターはボタンが4カ所に設置されている。ドアの左右に1カ所づつ、車いすのひとようの低めに設置されたボタンが真ん中あたり左右に。そのまんなか右側のボタンを押したのだ。

するとエレベーターが答えた

「ソノカイニハトマリマセン」

その無機質な声がエレベーター内に流れた瞬間、おそらく先ほどより多くの人がこころのなかで突っ込んだ。だからあいてへんって。わたしはおもった。すると押した女性は自分で

「つっこまれてもた」

と言った。すると女性達の前に陣取っていた、こちらは20代前半のOL達が、たまらず吹き出し、くっくっくと笑い出した。その声を聞いて相方が、

「ほら〜、もう〜、あんた恥ずかしいしやめて〜。エレベーターに突っ込まれんといて」

と言った。相方が被せてきたからもうたまらない。それを機に、多くの人達がクスクスとやりだした。私も声をださなかったが、エレベーターのドアに向いたままにやついた。なんやねん、この街は、おもろすぎるやろ、全身におわらいスピリットが染みついてるなあとネタの提供をよろこんだ。
写真 (96)
そうこうしているうちにエレベーターは3階に到着した。私はドアを出たところにあるソファーに背負っていたリュックをおろし、なかからメモ帳をとりだし、忘れないうちにメモをとった。

『エレベーターに突っ込まれるおんな』

と。