「みさおちゃん、大丈夫か?頭がおかしくなってないか?病んでないか?」
私がとてつもなく下手なサーフィンのイラストをインスタグラムにアップをしはじめると、友達で師匠で尊敬する人生の先輩である社長さんが、我が身を案じ連絡してきてくれる。愛されているなあと幸せだなあと思うと同時に、心配かけてはだめだよなと反省しきりになる。すんません。
では何故、私は、そこまでしてこのイラストを世界に向けてインスタでアップするのか。
理由は、それを求められているからというのと、それを描く人が誰もいないからである。
そう、マーケターとしてビジネスマンとして零細個人事業主として、この激しい経済社会において、需要があるのに供給が少ないという奇跡的な市場をほおっておくわけにはいかないのだ。
最初はそんなことは露も知らない。
そもそも、そんなところにマーケットがあることさえ知らない。たまたま、プロサーファーや上級者がやるポスチャーをイラストに描いたのが、なかなかいい感じだったので、書き始めたのだ。
私はスポーツの分析オタクだ。運動神経がすこぶる悪い私。あらゆるスポーツの上達は遅かった、もしくは、上達しなかった。特に苦手なのは、サッカーやバスケットボール。敵味方が入り乱れて同じコートにいるスポーツは全然だめ。相手がきたらあせって何もできなくなる。
コートが別れている卓球やテニスやバレーはまだまし。同じエリアであらそうことないので落ち着いてできる。だからちょっとはまし。
とはいえ、スポーツは大の苦手。運動神経はゼロで、体育の成績はずっと1か2。だから、そのスポーツをただやることで、回数を重ねることで、感覚を使って上達するなんてまったくできないのだ。あらゆるスポーツがそうなので、私は、その上達のために理論を使うことにしたのだ。ゴルフとかテニスとかは上達本がたくさんでていて、それをみて独自の見解をいれ理論を作った。
サーフィンにはあまりその理論がなかった。だから、朝から晩までプロや、地元の上級者を見て、また地元のヘタクソたちを見て、その違いを分析した。うまい人はどんな感じで体を動かしているのか、下手な人はどうなのか。
その違いを知り、埋めていけば、上級者になれるのではと考えた。もちろん、見ているだけではわからないところは、師匠に聞いた。どうやって、リップかけてるんですかと。その教えを文章にして、ノートに残した。
それで徐々にだが上達することができた。そして、その文章を、同じように悩んでいるかも知れない人に向けて発信した。10年前にブログを始めた。
理論だけで上達すれば、警察いらんでと言われそうだが、その理論は、まちがいなく上達に貢献した。
ブログは主に文字だけで説明していたが、その理論を教える時に絵を描くときがあった。そのあたりが始まりだ、サーフィンのシーンを切り取りイラストにすることの。
こうしてみると、随分うまくなったものだと思う。
で、こんな感じで書き始めてから、事あるごとにイラストを描いていた。
もちろん、ヘタクソなおれが描かなくても、ネットを探せば、サーフィンイラストで検索をかければ、いくらでもでてくるだろうとやってみた。
ところが、ないのだ。
サーフィンには、強烈にカッコいい瞬間がある。プロや上級者が波を切り刻んたときの絵だ。
視線やポジション、波の崩れ具合、水の飛ぶ感じ、その時の体の形、手の位置足の格好など、この瞬間は強烈に、最高にクールだという瞬間があるのだ。ところがだ、サーフィン イラストで検索しても、その瞬間を切り取ったものがないのだ。それは、イラストを描いている人が、サーファーでないからだ。
なんとなくサーフィンのイメージで描かれているものが多い。まあ、そうだよね、一般の人にとってサーフィンってそういうイメージだよねってのが多い。
両膝を曲げ、腰を落とし、両手を横に広げてバランスをとっているそんな姿勢が多い。まあ、それでもいいのだが、それは、俺にとって全然かっこよくないのだ。もっと、プロや上級者が全速力でかっとんできて、波をえぐるようなシーンが必要なのだ。
サーファーでなければ、これがカッコいいとは思わないだろうし、そもそも、これが何なのかさえわからないと思う。
でも、サーファーにとったら、こんなサーフィンをしてみたいって思うのだ。もちろん、この形にするためには、相当な技術が必要で、20年近くやっても、この形を作れないまま、サーフィンを辞めていく人も結構いる。それほどあこがれの形なのだ。
こういうのを書き出したら、止まらなくなった。プロや上級者が、海の上でおこなっている、すべてのクールな形を描きたくなったのだ。とまらなくなった。それが、高じて、いまではインスタに120枚位のイラストがある。
そのイラストは、うまいとは決して言えないものだ。だから、ある程度描いてしばらく辞めていた。遠く離れた地に住む師匠も、安心したことだろう、みさおが普通に戻ったと。
ところが、少し前に、メッセージがきた。
「河村さん、もうあのサーフィンのイラスト描かないんですか?楽しみにしてるんです」
と。
おお、待ってくれている人がいたのか。いいねはついているが、社交辞令みたいなものかと思ってたので、まあ自己満足で描いていたのだが、おやおや、お待ちくださる方がいたのね。じゃあ、描こうかなと思い、また書き始めた。
すると、今度は、まってましたと言ってくれる人がいた。みさおさんのイラストは、サーファーにしかかけないと思う。体の描写のしかたが、とても好きだと言ってくださる人がいたのだ。
おお、なんや、待ってくれる人がいるのかと、再び書き始めた。もちろん、久しぶりに描いたので、また師匠は心配で電話してくれた。
再び描こうと思ってかきはじめた時に、思いだしたのだが、実は、インスタにあげていたイラストが売れたのだ。海外の人が、この絵はハウマッチと聞いてきたのだ。売る気なんてなかったので、あわてて値段をつけた30ドルですと。
すると、買うと言ってくれて、売った。paypalで支払ってもらって原画を送った。
(売れたのはこのイラスト↓。よくみたらフィンの位置がおかしい、よく買ってくれたよな)
そういえば、需要があったんだと、思いだしたのだ。あまりにも絵が下手なので、やたらいいのかなと思ってたが、絵がうまいのはもちろん、そのほうがいいのだが、その絵をほしいという人がいるなら、それはマーケットとして成り立つのだ。
そう考えると、この市場はとんでもない可能性がある。需要があるのに、供給がまったく追いついていない。グーグル先生に聞いて世界中に問い合わせてもそんなにないのだ。
サーファーは、こんな形をカッコいいと思う
この形をカッコいいと思うのは、おそらくサーファーだけだろう。だとしたら、サーファーにしかかけないという事になる。サーファーでないイラストレーターに、サーフィンのカッコいいシーンを描いてってなっても、この絵は描かないだろう。
サーファーのイラストレーターもたくさんいるだろうが、今もところ、ここを描いている人はいない。需要があるといっても、それがお金になるということではないので、そもそもこの市場に参入するメリットがあるかってはなしである。
ギークなのね、結局。ギークっておたくって意味。
サーフィンおたくで、分析おたくなのね。だから、上達のために朝から晩までビデオをみていたこともあるし、スキーの分析をしていたときは、イントラの同僚に、エエカゲンにせえと切れらるくらいまでビデオをみていた。
サーフィンが好きだからゴルフが好きだから、ずっと関わってたいってのがきっとあるのだと思う。だから、下手の横好きでイラストを描いていてもあきないし、それを眺めていても全然あきない。ああ、美しい形だなあ、この形にするためには、後ろ足をどのタイミングでひきつければいいのかなあ、わかったけど、海ではでけへんよなあとかやってる。
以上が、私がヘタクソなイラストの投稿を辞めない理由だ。師匠、いつも心配かけてすみません。ほどほどにやりますので、よろしくご指導のほどおねがいいたします
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