圧倒的にすごい、ぐうの音もでないという講義に参加した。
大学の先生が解剖学、脳科学の見地から男女について語る講座だ。2時間の講義なのだがこれが半端なくすごい。もうあっというまの2時間でワクワクどきどきしっぱなしの講義。中だるみや、間延びが一切なく、構成もみごととしかいいようがない。
おもしろいのは話し方がうまいとか、TEDのようにプロデュースされまくっているという講義ではない。普通に淡々とセミナーは進んでいく。
世に、プレゼン術やセミナー講師になる方法などが溢れているなか、どうやったら上手く講義できるかに着眼点が移っているがいい講座の本質はそこにはない。実はこの先生の講義受けるは2回目だ。1回目に衝撃をうけ、もう一度受けたいと思って2回目も受けた。研究者の私にとって、これほどのサンプルはないわけだ。穴が空くほど見つめ、耳の穴をかっぽじって聞いた結果、彼女の講義がなぜすばらしいかの分析が完了した。出し惜しみしたいほどの内容だが、情報はすべて無料で開示するという河村総研の理念に基づき、以下に示すこととする。
圧倒的に深い専門的知識と見識
まあこれにつきるかなと思う。
当たり前だが、圧倒的に専門的に深い知識と見識をもっている。深いはおもしろい、それはまちがいない。おたくのはなしは、それがまったく門外漢のはなしであっても聞いていて楽しい。浅く広く、そこらへんで読んだ、ちょっと見聞きしたはなしのなんとおもしろくないことか。
要はコンテンツの内容だ。その件に関しては、どこから聞いてもらっても完璧に応えられると言うほどの知識がない限り、壇上に立ってはきっといけないのだと思う。私はサーフィンの上達講座をやるが、その特定の分野に関してほぼ完璧に理解しているつもりだ。この範囲での質問に関しては答えられるよという覚悟で壇上に立つ。そんな人がやる講義はおもしろい、それが再確認できた。
講義だから、セミナーだから最低90分だよな、まあ2時間はやらないとなとなり、時間合わせのようにコンテンツを追加している講義なんてとんでもないということになる。もしあなたが、精通していることについて10分しか話せないのなら、10分の講義をやったほうがいい。2時間のセミナーを仮に10000円で提供しているのなら10分は12分の1として、833円でやるほうがよほどいい。
聞き手ファースト
聞き手ファーストだった。
その日は40人ほどのお客さんがいたが、彼らが何を聞きに来ているかを完璧に把握されていた先生は。聞きたいことに対して、自分のコンテンツの中からセレクトしそれを提供する。簡単なことだが、それができていない講師がいかに多いことか。
以前、オークションで高く落札される写真のとり方というセミナーにでた。先生はプロの写真家で間違いないと参加したのだが、その先生は2時間の講義の中の1時間を自分の過去の作品を紹介していた。なんだか自己紹介が長いなあと聞いていたものの、これが後半の講義の布石なのだろうと聞いていたが結局、それはただの時間つぶしだったことが判明した。
自己紹介は5分で、撮り方講座が1時間だとしたら、65分でよかったと思う。タイトルに準じたセミナーでなかったことを考えると詐欺だと訴えられても仕方がない気さえする。
タイトルをしっかりつける。タイトルをいつも見ておく、片脇において講義を作らないとこういったズレがでてくる。
(写真はイメージです)
客観的かどうか
それってあなたの見解でしょ、興味ないわって時がある。
アイドル的な講師ならいい。あなたの言うことはなんだって聞きたいよって人の前ならいい。そうでなければ、バイアスがかかりまくった主観的な意見ばかりだと興ざめしてしまう。今回の先生は1回だけ主観を入れた。そのときに「これはバイアスが掛かっている主観ですけど」とことわった。そう、それ以外の話は99%客観的なデータや分析であり、驚きを隠せない。
自分の意見や主張はもちろん大切で、何かを伝えるという目的がないと講義をやる意味などないが、これほど客観的にそれを伝えることができるとは、講義に対する思いが一新された、彼女の講義を聞いて。
以上3つが、プロの講師が圧倒的な講義を提供する際に盛り込んでいる基本的な部分である。一瞬でも、おいおいなんだこれはと思われたらその講義は失敗と思ったほうがいい。彼女の2時間には1ミリたりともそれがなかった。
果たして自分はどうだろうかと考えたら自信がない。2時間の講義は40分ほどに短縮できるのではないかと思う。ネタフリや、導入をカットしろと言っているのではない。つかみはとても大切だから入れないといけない。だがその無駄話もしっかり計算されたものでないといけない。
まずは5分でもいい、非の打ち所のない講義を作ることから始めるといい。あとはそれをどんどん積み上げ伸ばせばいいのだから。講義は90分だよって誰もきめていないのだから。
100%主観でお届けいたしました