アピールは無意味

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「俺ってどう?凄くねえ」とやるとおそらく終わる。

ややこしくなるので範囲をせばめる。女にもてたい男に限定しよう。女の人にもてたいと男の人は基本思っていることを前提にする。ほぼ、間違いない。おそらく思っている。そうなってくると男はどうするのか。

凄いことをアピールする。やってしまう。さりげなく。時には大胆に。しかし、そこにさりげなくはない。とくにいい女(美人かブスかの話ではない。魅力的かそうでないか)になってくると、そのあたりのセンサーが抜群。

例えばあなたが英語の達人だとしよう。前提として語学の達人が女の子にもてると仮定する。あなたが英語ペラペラというのは強烈な売りになる。なんとかして、その子に自分が英語が出来ることを伝えたい。どうしたらいいのか。方法はひとつ。

自然に伝わるのを待つしかない。あなたが演出家で限りなく自然に近い方法を演出出来るなら作ってもいい。でもそれは相当難しい。あなたがばれていないと思っても、その魅力ある女性は気づいている可能性が高い。

四条烏丸の交差点に大きなリュックを担ぎ、手に地図をもち周囲を見回している白人男性の二人組がいる。おそらくバックパッカーで迷っている。英語は話せるあなたは声をかける。

Where to?

八坂神社に行きたかったようだ。ここをまっすぐつきあたりまで行けばいいよと案内する。男性は笑顔で手を振って目的地に向かう。あなたも笑顔で手を振る。その一連の過程をあなたがものにしたいと思っている女性が見ていた。

その女性はあなたが交差点に立っているのに気づき、声をかけようとした瞬間に、状況が起こったので声をかけるタイミングを失い見ていたのだ。その女の子は普段のあなたと違う感じに一瞬ドキッとした。英語で話すと少し人格が変わる感じになることは良くある。表情も豊かになる。その姿にはっとした。

「おはよう」

3日後のイベントで彼女はいつものように彼に声をかけた。鈍感な彼にもわかった。あきらかにちがう感情を彼女はもちはじめた。彼を見る目がきらきらしていた。

こんなことが起こる確率は万にひとつだ。でも待つしかない。ひたすら自分を磨いてがんばるしかない。でも、それは絶対にアピールしてはいけない。アピールした瞬間、あなたが魅力的と感じる女性があなたを候補からはずす。いい女はそのあたりの勘がすこぶるいいのだ。

青年よ。あなたが凄いのは俺が知っている。みな知っている。だからあせるな。魅力があふれてくるほど自分を磨け。心配するな。

天は見ている。

ちなみにこのエッセーを書いた時点で俺はもういい女から排除された。さりげなく英語が出来ることをアピールしているからだ。文中の Where to?だ。普通はWhere do you want to go?とか聞く。Where to?はかなりくだけた表現で、英語ネィティブは好んで使ったりする。

私は英語ネィティブが使う英語を知っています。それをさりげなく使うこともできますよ、というのを本人はさりげなく、だけど、いい女から見るといやらしいほど露骨にアピールしているのだ。

これが駄目なのだ。

逆説的にいい女は気づくということだ。あなたが魅力的ならそれが漏れなくても彼女たちはきづくのだ。

結論アピールはいらないということだ。